SSDやHDDのフォーマット形式って色々あるけど、結局何が違うの?
そんな疑問をもっている方も多いと思います。
よくわからないから、一番汎用性がありそうなものにしてしまうと、停電などの障害でデータが全損してしまった!!なんて悲しいことになる可能性もあります。
この記事では、それぞれのフォーマット形式の違いを解説していますので、ご自身の環境にあったフォーマット形式選びの参考にしてください。
【結論】各フォーマット形式の違いまとめ
APFS | NTFS | exFAT | FAT32 | HFS+ | |
Mac OS | ◎ | × | ○ | ○ | ◎ |
Windows OS | × | ◎ | ○ | ○ | × |
最大ドライブ容量 | 実質無制限 | 実質無制限 | 実質無制限 | 32GB | 実質無制限 |
最大ファイルサイズ | 実質無制限 | 実質無制限 | 実質無制限 | 4GB | 実質無制限 |
速度 | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ○ |
堅牢性耐障害性 | ◎ | ◎ | △ | △ | ○ |
その他機能 | スナップショット | スナップショット |
多くのは人は、対応OSが違うぐらいしか意識していないかもしれませんが、それ以外にも転送速度だったりスナップショットなどの便利機能に差があったりします。
中でも個人的に一番大きいと思うのは、堅牢性・耐障害性に違いがあります。
例えば、APFSのフォーマット形式ですと、クラッシュ時のデータ破損予防として、データを直接書き換えるのではなく、一旦別領域にデータを作成しておいて、最後に差し替えるということをしています。
このようにしておくと、万が一の事故でもデータ破損リスクはかなり軽減されます。
いろいろなOSで使えるからexFATでいいや!と適当に選んでいると、不慮の事故でデータが全損した!!なんてことになるので、注意してください。
次項で詳しく各フォーマット形式の特徴やデメリットを解説していきます。
各フォーマット形式の違い
APFS(Apple File System)
macOS High Sierra 10.13(2017年)に登場した比較的新しいファイルシステムです。APFSが登場するまでは、macOSのファイルシステムと言えばHFS+(mac OS拡張ジャーナル)でしたが、堅牢性・耐障害性・ファイルのコピー速度など様々な面で機能向上しています。
特徴
- SSDに最適化されているファイルシステム
- ファイルのコピー方式がマルチスレッド(複数ファイルを同時に処理可能)
- コピーオンライト対応(後で解説します)
- スナップショット対応(後で解説します)
- 暗号化、圧縮機能搭載
- パーティション空き容量が可変
- Time Machine(バックアップ)機能は、macOS Big sur以降で対応
- 堅牢性、耐障害性向上
注意点
- macOS Sierra 10.12以前には対応していない
- macOS Big sur 以前ではTime Machineが非対応
- macOS以外では使用できない
WindowsOSで使えない、比較的新しいmac OSにしか対応していない、という点以外は特にデメリットはありません。
スナップショットなどの便利機能以外に、障害が起きた時でもデータ破損に繋がらないような技術が取り入れられているため、Apple製品しか使わない人は、このフォーマット形式がオススメです。
ちなみに、コピーオンライトやスナップショットがどういう機能かわからない方は下記参照してください。
コピーオンライトとは
通常は、ファイルをコピーした場合に全く同じデータを複製する形となり、ストレージの容量を使います。
しかし、コピーオンライト機能があるファイルシステムでは、コピー要求があった場合、参照先を共通にしたコピーを行います。つまり、この時点ではコピー先のデータは、元のデータを参照しにいくだけですので、新しくストレージ容量を使うことはありませんし、コピー作業も一瞬で完了します。
その後、コピーしたファイルを編集をした際に初めて同じ参照先だったものから、新しくストレージ容量を使う形に切り替わります。
特徴
- 大きな容量のファイルでもコピーが一瞬で完了する
- 無駄な書き換え作業によってSSDの寿命が縮むのを防げる
スナップショットとは
ある瞬間のデータのコピーを保持してくれる機能です。例えば、間違えてデータを上書きしてしまったけど、1日前のデータに戻したい!なんて事が可能になります。
これは先ほど説明したコピーオンライトの機能を応用しているもので、データ領域のコピーまでは行わずに、その後に修正したファイルのみ別領域で保存される仕組みです。ですので、ストレージ容量を大量に消費することはありません。
特徴
間違えてデータを上書きしてしまった時でも、過去データを参照して戻す事が可能になる。
NTFS(NT File System)
WindowsNT系のファイルシステムです。ファイルやディレクトリに対して暗号化が可能で、堅牢性に優れています。また、ジャーナリングファイルシステムという技術が使われているため、障害が起きた際でもデータ破損のリスクを軽減されます。
特徴
- ファイルやディレクトリに対して暗号化可能
- ファイル単位でNTFS圧縮機能が使える
- 検索・アクセス速度の改善
- ジャーナリングファイルシステム(後で解説します。)
- 不良セクタの認識でクラスタの代替えが可能。耐障害性の向上
- アカウントごとにアクセス権を設定可能
- 堅牢性の向上
- スナップショット機能搭載
注意点
- Windows OS以外では使用できない。
- Windows 98以前のOSでは使用できない。
先ほど説明したAPFS同様、WindowsOS以外で使えない点以外では、特にデメリットはありません。
堅牢性や耐障害性でexFAT、FAT32などのファイルシステムよりも優れていますので、WindowsOSでしか使わない人は、このフォーマット形式をおすすめします。
ちなみに、ジャーナリングファイルシステムって何!?という人は下記参照してください。
ジャーナリングファイルシステムとは
ファイルの書き換えなどを行う際、メタデータ(管理領域)の内容を変更する最中に、停電などで不慮の事故が起きてしまうとデータ破損につながる事があります。
ジャーナリングファイルシステムでは、メタデータ(管理領域)をいきなり書き換えるのではなく、一旦ジャーナルと呼ばれる特殊領域に保存し、そこから書き換え作業を行うようにしています。
このようにすることで、データ書き換え作業の途中で障害が起きたとしても、復旧が可能になる技術です。
特徴
停電などの障害でも、データを復旧できる可能性がある。
exFAT(FAT64)【Extended File Allocation Table】
2006年にMicrosoftによって導入されたファイルシステムです。後述するFAT32のファイルシステムでは、4GB以上のファイルを扱えなかったものに対して、exFATでは容量制限なくファイルを取り扱う事が可能になりました。
また、macOS・windowsOS以外でも一部古いシステムを除いて様々な機器で取り扱う事が出来ます。
特徴
- USBフラッシュドライブやSDカードに最適化されたファイルシステム
- macOS、WindowsOSなど、様々なOSで使用可能。
- FAT32では取り扱えなかった4GB以上のファイルも取り扱える
注意点
- APFSやNTFSのような、OS専用のファイルシステムと比べると堅牢性や耐障害性に劣る
- 暗号化や圧縮、コピーオンライト、スナップショットなどの便利機能はない。
- 万が一障害に弱い
macOSやwindowsOS以外でも様々な機器で使用できるため、いろんな環境で作業する方はexFATがおすすめです。
ただし、APFSやNTFSにあったような便利機能はありませんし、万が一の障害に対して強くはないため、注意が必要です。
FAT32【File Allocation Table 32】
FAT32は、1996年にMicrosoftによって初めて導入されたファイルシステムです。
現在一般的に使用されるフォーマット形式の中で最も古いものですが、その分ほとんど全ての機器で使用する事が可能です。ただし、4GB以上のファイルは取り扱えないという致命的な欠点があります。
特徴
- WindowsOS、macOSに限らず様々な電子製品で使用可能
- 最大2TBまでのボリュームサイズを管理可能
- 最大4GBまでのファイルサイズを管理可能
注意点
- 4GB以上のファイルを扱う事が出来ない。
- 最大2TBまでのストレージしか管理できない
- 暗号化や圧縮、コピーオンライト、スナップショットなどの便利機能はない。
- 万が一の障害に弱い
汎用性は抜群ですが、4GB以上のファイルを扱う事が出来ないのは致命的なデメリットです。APFSやNTFSなどと比べても耐障害性に弱いため、処理が中断されてしまった場合などはデータ破損リスクがあります。
FAT32じゃないと認識しない機器(PS3など)に接続したい人以外はオススメしません。
HFS+ 【Mac OS 拡張(ジャーナリング)】
1998年のmacOS 8.1から採用されたファイルシステムで、日本では、MacOS拡張ジャーナリングと言われる事が多いです。NTFSと同様、ジャーナリングファイルシステムが採用されているため、万が一の障害に対しても強いです。
特徴
- HDDに最適化されたファイルシステム
- ファイルのコピーはシングルスレッド(ファイルは1つずつ処理)
- ジャーナリングファイルシステム
- 暗号化可能
- 新旧関わらず、全てのmacOSで使用可能
注意点
- APFSに比べると、堅牢性や耐障害性に弱い。
- コピーオンライトやスナップショットなどの便利機能はない。
- macOS以外で使用できない。
APFS同様、macOS以外では使用できないため、機能面ではAPFSの下位互換といった位置付けです。ただし、APFSは古いmacOSで使用できないため、そのような場面ではHFS+にする必要があります。
以上、少しでも参考になれば嬉しいです。
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